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異性のセクハラ相談を受けるとき

Q先日、女性からセクハラ(セクシャルハラスメント)相談を受けたのですが、聞いている私は男性として、どう対応したらいいものか困ってしまいました。異性のセクハラ相談を受ける際の留意点があったら教えてください。
Aセクハラ相談の場合、被害を受けたことを相談に来る人のほとんどは女性です。そのため、男性の窓口担当者は「どこまで聞いていいのか?」「詳しく聞いたら傷つけてしまうのではないか」と心配される方も多いようです。

セクハラ相談は、特にボディータッチを含んだようなケースや、性的関係を迫られるような悪質なケースなどは、話すこと自体に苦痛を伴います。悔しさや恥ずかしさ、情けなさなど、さまざまな感情が入り混じっているため、「話しやすい相手だ」と感じなければ、心を開いてくれないでしょう。

この際に、同性の相談員が対応することで、その抵抗感が弱まることは大いにあります。窓口担当者が同性であれば、相談する人は「そのとき起きた状況や感情を、同性としてわかってくれるだろう」という期待が高まります。このような安心感があることで、辛い気持ちとじっくりと向き合えます。また、それは窓口担当者としても同様で、同性の相談のほうが聴きやすいという実感があるでしょう。そのため、相談窓口担当者も男女一名ずつ任命することを、私たちはお勧めしています。

しかし、だからといって異性の相談はちゃんと受けられないかというと、そうではありません。相談を受ける際の基本は、「その人が被害を受けたとき、どんな状況だったのか」「そのときの気持ちはどのようなものだったのか」「被害を受けた人が、再び元気を取り戻して能力を発揮できるようになるには、どうしたらよいか」といったことを、相談する人の傷ついた心を支えつつ、問題解決にむけて共に考えることです。これは男性、女性であることの前に、ひとりの人間としてどう相談者に向き合うか、という問題です。

異性のハラスメント相談を受ける際は、「性別を乗り越えて、一人の人間として関わる」という意識を持つことです。誠実に、起こった出来事について確認し、相手の気持ちを受け止めつつ、窓口担当者としてできること、できないことについて、率直に伝えることができれば、真の信頼関係がつくられ、問題解決にもつながりやすくなります。その意味で、異性だからといって特別気を使う必要はなく、誠実に、且つ淡々と話を聴けばよいので、心配はいりません。

実際に酷いセクハラ相談でも、男性の窓口担当者が真摯に対応したことで、問題解決した例はたくさんありますし、反対に女性の窓口担当者が「そんなことぐらいセクハラじゃない」と、自分の価値観でうっかり発言して、大きなトラブルになるケースもあります。つまり、同性だからうまくいく、というものでもなく、「ひとりの人間として、セクハラ問題を受け止められるかどうか」が大切なのです。

一方で、いくら窓口担当者が真摯に対応しても、「異性では話しづらい」と相談者から言われることもあります。その際には、同性の担当者に代わるなどの配慮が必要です。また、話しづらそうな様子が見られるときには、さりげなく「話しづらかったら無理しないでください。同性の担当者のほうが話しやすいですか」など、相手にきいてみてください。このような相手に配慮するかかわりそのものが、信頼関係を作っていくうえで大切なのです。

また、相談を受ける際の面談室では、男性と女性で2人っきりにならないように配慮しましょう。セクハラ被害を受けた人は、2人っきりになることで恐怖感を覚えることもありますし、反対に「かわいそうに・・・」という気持ちが高ぶって、相手を抱き寄せてしまうなどのトラブルも起こりえます。このようなことのないように、相談を受ける際はできるだけ2人体制で臨みましょう。

(2011年)

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