アーカイブハラスメント問題

ハラスメント問題第10回 自分が攻撃されているわけではないのに・・・?

こちらのアーカイブは、職場のハラスメントに関する解説を事例などを交えて記載しています。パワハラ・セクハラ防止研修の教材や職場におけるハラスメント防止の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご活用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)

知っていますか これもハラスメントです

第10回 自分が攻撃されているわけではないのに・・・?

前川陽子さん(仮名・30代女性)は、電気メーカーに勤める入社3年目の営業マン。仕事にも職場にも慣れて意欲的な毎日を送っていたが、今年4月の人事異動で上司が川田課長(仮名)に代わってからは一変、憂鬱な毎日となった。最初のきっかけは川田課長が同僚女性のプレゼン資料ミスに、突然キレた事。「お前!こんなもん、使えるか!」皆の前で同僚女性を立たせ、延々とどう喝した。「あんな、ちょっとのミスで・・・」、前川さんは課長の言動に強い憤りを感じながらも、恐怖で息が詰まり、胸が苦しくなった。

以来、同僚女性をターゲットに川田課長の理不尽で執拗な攻撃が始まった。前川さんは、そのたびに、わがことのようにつらくなり、精神的苦痛からか過呼吸を起こすようになった。何とかしたいと、川田課長の上司である部長に相談しに行った所「またキレたか。注意しているんだがなぁ~。何とかするからもう少し我慢してくれ」と言われ、その場で過呼吸を起こしてしまった。

「職場の声」として伝えよう

前川さんは、同僚女性を目の前にして心身不調になりました。ハラスメントは、行為者と被害者の問題にとどまらす、二次被害として職場環境を悪化させ、士気や生産性の低下を招きます。部長は川田課長を「注意している」と言っていますが、「改善されなければ何の対応もせず放置している」事と同じで、会社は企業責任(安全配慮義務)を問われます。部長は前川さんに「我慢してくれ」ではなく、「会社はあなたを守るし、個人の問題ではなく、組織の問題として解決していく」と答えるべきでした。

感情的に怒鳴り散らす、典型的なパワハラ上司に、部下が一人で立ち向かうのは困難です。「職場の声」として複数の意見をまとめ、ラインのしかるべき立場の人に相談すれば、より抵抗が少なく、有効な手段となるでしょう。

職場の環境づくりは一人ひとりの課題であり、上司は大きな責務を担っていることを、忘れてはなりません。

*当原稿は、中央労働災害防止協会発行【安全衛生のひろば】2009年10月号に掲載されたものです。

カウンセラー 相賀 裕美子/監修 岡田 康子

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