ハラスメント対策の導入事例・実績一覧アステラス労働組合 様

導入事例アステラス労働組合 様

一人ひとりの挑戦と成長を支え合う風土を醸成

  • 導入事例①:ハラスメント防止研修
    労働組合と会社がタッグを組むハラスメント防止推進策(研修、社内広報冊子)の実施支援
  • 導入事例②:職場サポーター研修
    共に成長し、働く喜びを実感できる職場づくりに向けた研修をカスタマイズ
  • これからの施策の展望: インナーダイバーシティ® ダイバーシティの充実を図る
アステラス
アステラス労働組合 様
  • ハラスメント
  • セクハラ
  • パワハラ
  • ダイバーシティ・女性活躍・キャリア
  • 提供サービス研修
  • 規模1万人以上

アステラス労働組合 中央書記長 矢野 武史 様
アステラス労働組合 副中央執行委員長 石井 卓也 様
アステラス労働組合 副中央執行委員長 清水 紀子 様

クオレ・シー・キューブ シニアコンサルタント 稲尾 和泉
クオレ・シー・キューブ 広報 岩崎

弊社とアステラス労働組合様とは、2008年に支部執行委員向けに実施したパワー・ハラスメント研修をきっかけに、2011年の女性MR(医薬情報担当者)向けハラスメント防止研修、職場サポーター制度など継続的にサポート関係を築いています。また、その取り組みは労働組合だけでなく会社(アステラスグループ様)のハラスメント防止対策と足並みをそろえた形で、継続的に実施されています。今回は、アステラス労働組合様の取り組みと会社との連携についてご紹介いたします。

アステラス労働組合の活動について

岩崎: まずは皆さんが普段どんな取り組みをされているのかを教えてください。

石井卓也氏: アステラス労働組合は職場を原点に、「一人ひとりの豊かな発想とそのハーモニーをもって、組合員とその家族、さらに私たちを取り巻く人々の幸せをめざして」という理念の実現を目指して活動しています。活動内容としては、「一人ひとりへの成長支援」「アステラスグループで共に働く喜びを実感できる職場づくり」「アステラスの健全な発展を目指した会社との協議・連携」「医薬品産業・社会への貢献」に取り組んでいます。また、全ての活動の基盤としてハラスメントなどのコンプライアンス違反が起こらない・起こさせない職場づくりや、安全健康への取り組み、相談窓口などの個々人へのサポート活動も行っています。

岩崎: 今回は活動の中の「コンプライアンスへの取り組み」としてのハラスメント防止研修、「相談窓口」の一つである職場サポーターに関してご紹介いただきたいと思います。

コンプライアンスへの取り組み:「女性MR向けのハラスメント防止研修」を実施

岩崎: ハラスメント防止研修について伺います。私どもの研修への関わりとしては、2008年のパワー・ハラスメント研修を実施させていただきましたのが始まりでした。その後2011年に「女性向け研修」を実施させていただきましたが、清水さんは、その研修には参加されていたそうですね。
※「女性向け研修」は「きちんと意思表示!女性のためのハラスメント防止研修」をベースにしています。
お問い合わせはこちら。

清水紀子氏:はい。2年目の女性MR(医薬情報担当者)を対象としていたハラスメント防止研修だったのですが、女性の先輩とのつながりをつくることを目的に、女性の支部役員も参加者兼アドバイザーとして参加しました。私は2013年、2014年に支部役員として参加し、セクハラ(セクシャルハラスメント)などハラスメントの問題にどう対応をしていくかについてモデルケースを交えて大変わかりやすく講義していただきました。

稲尾:この年から3年間講師として伺いましたが、毎回とても活気にあふれた研修でしたよね。特徴的なのは、この研修を会社と協力して開催されていたことや、数年後に会社としてこの研修の内容を参考にしたガイドブックを作成して全従業員に配布するなど、その後の会社の取り組みにもつながりがみられたことだと思います。弊社は労働組合と会社の双方にご支援しているのですが、ハラスメント問題への取り組みに関して、会社と労働組合との足並みがとても揃っていらっしゃる印象です。それぞれが主催される研修があると思いますが、労働組合主催の女性MR向け研修としては、どのような意図がありましたか?

清水氏:労働組合で主催した意図は、活動の基盤としてコンプライアンスを重視しており、組合員一人ひとりにハラスメントへの意識を上げてもらいたい、万が一遭遇した際に相談しやすい職場づくりをしていきたいとの思いがあったからです。アステラスには女性MRが1人だけといった営業所もあります。特に地方の営業所では、隣の営業所でも県が違うなど距離が遠い場合があり、気軽に相談できる人が近くにいないなど、社員が悩みを1人で抱え込んでしまいがちです。そこで次の3点を目的に研修が企画されました。
(1)若手女性MRがセクハラ被害に合わないための知識を習得する
(2)迷った・困ったときに労働組合に相談しやすい環境づくりを行う
(3)本部・支部(女性)役員とのネットワークをつくる
入社2年目の女性MRが全員参加してみんなで事例を話し合う形にしたことや、女性の先輩もアドバイサーとして参加したことで、より理解が深まり、女性同士のつながりも作れた研修でした。

岩崎:一方で、男性MRの皆さんに対する研修はどのようにされていますか?

清水氏:男性MRだけをターゲットにした研修はしていないのですが、労働組合としてはハラスメントに関する研修用資料をHPで掲載していて、支部・分会で研修できるようにしています。またハラスメント撲滅月間を定め、ハラスメント撲滅に向けた本部役員による研修などのキャンペーンを行っています。会社では女性も含めた営業所全体として営業所長よりハラスメント研修を実施しています。営業所長自身も集合研修などでハラスメントに関して継続して研修を受けていると聞いています。

「職場サポーター制度」で組合員が相談しやすい体制づくり

岩崎:また、2012年からは「職場サポーター制度」を導入されていますね。それはどのような経緯だったのですか?

清水氏:「職場サポーター」は一人ひとりが安心して働けるようサポートしたいとの思いから、相談窓口の機能強化を目的に導入しています。経緯としては、職場委員・支部役員・本部役員など役職を問わず、誰にでも相談できる環境作りを進めてきた一方で、労組の相談窓口の認知度が低いことや、相談を受ける側に対する教育研修が十分ではないことは課題であると認識していました。
そこで相談しやすい窓口の一つとして、組合員と普段から顔を合わせている支部役員に「職場サポーター」の役割を担ってもらいました。現在の担当者は65名で、経験者は累計で200名以上になっています。
職場サポーターには、組合員の相談にのるほか、各種相談窓口につなぐ「最初の窓口」としての機能、職場で気軽に話しかけ、相談しやすい体制作りをしていくという役割を担っていただいています。

岩崎:具体的にはどんな仕組みになっているのですか?

清水氏:各支部・分会に職場サポーターを設置し、相談したい組合員は直接相談できるようになっています。職場サポーターは労働組合ホームページのサポーター一覧から確認できるようになっています。ホームページは相談窓口周知の目的で職場サポーター以外の各種窓口も併せて確認できるようなページ構成にしています。また、相談窓口全般について定期的に労働組合の発行物や職場での情報共有用資料に入れるなどの形で、周知も継続しています。

矢野武史氏:支部によっては相談窓口をオープンに開設して活動しているところもあります。その場合は、時間、相談場所や職場サポーターのメンバー紹介などを告知し、昼休みや終業後ですが、週に数回、あるいは月に数回といったスケジュールで支部の状況に合わせて対応しています。

「職場サポーター研修」の実施

清水氏: 2012年からクオレさんに「職場サポーター研修」を実施いただいていますが、今年の研修では、新しいハラスメント概念である「マタハラ」に関する内容なども入れていただきました。クオレさんには「ハラスメントとはそもそも何か?」というところから具体的な事例をもとに研修していただいていますので、参加者からのアンケートも好評です。ロールプレイを通して職場サポーターという役割の理解が非常に高まるとの感想をいただいています。感想の中には相談を受ける役割を担うことへの不安の声もありますが、今後もアンケートの内容なども踏まえて、クオレさんと一緒に職場サポーターマニュアルを活用しながら今ある課題に対する取り組みをブラッシュアップしていきたいと考えています。
※「職場サポーター研修」は「ハラスメント相談員スキルアップ講座」(現・「ハラスメント相談対応講座(2日間コース)」)をベースにしています。

稲尾:素晴らしい取り組みですよね。職場サポーター研修でも、皆さん一人ひとりが明確に自分の思いを伝えたり、考えたりする様子が伺えます。これは普段の業務からやっていないとなかなかできないです。それと同じように、労働組合と会社との関係も、問題や情報の共有がとてもしっかりとされているように思います。会社とはどういうふうにタッグを組んでいらっしゃるのですか?

矢野氏:お互いに研修等にもオブザーバーとして出席しあうなど、いろいろな場面で密に情報共有をして、コミュニケーションを取っています。そういったことが風土というか、文化になってきていると思いますね。
アステラスは2005年4月に合併があり、労働組合も同年10月に合併をしました。その際に、制度についても「旧藤沢薬品でもない、山之内製薬でもないものを作りましょう」という観点から、会社とはいろいろな協議体をつくって協議をしてきました。そこでそういう風土とか文化が培われてきたのではないかと思います。

岩崎:では次に、労働組合としての今後の取り組みと課題、思いなどをお聞かせください。

清水氏:中長期的な活動指針として2016年からビジョンとバリューを策定しました。アステラス労働組合設立当初からある組織理念をどのように目指していくかの方向性として、「仲間と共に変化に挑戦し、新しい未来(あした)を創る」というビジョンを掲げています。また、そのビジョンを実現するためのカギとして「Growth:一人ひとりが輝き、自分らしく成長・進化する」、「Togetherness:アステラスグループで共に働く喜びを実感する」、「Contribution:アステラス、医薬品産業の健全な発展に貢献する」、「Action:アイデアを試してみる、自ら行動してみる」――の4つを策定しました。
医薬品産業も環境変化がとても激しい状況にありますので、労組としてもみんなで変化に挑戦し、新しい価値を作っていきたいと考えています。
変化に挑戦し、とした意図は変化に翻弄されるのではなく、正面から立ち向かい、むしろその変化に挑戦し、私たち自身の手で未来を創りだしていきたいとの思いからです。その為には現状に甘んじない姿勢や、環境変化以上の早さで自分達自身も変化を先取りしていく必要があると思います。その際、誰一人として変化についていけないことのないように、それぞれが持ついろいろな思いを共有し、自分らしく成長し、みんなで一緒に進化していくことが重要であると考えています。具体的な取り組みについては来年度に向けて検討中ですが、一人ひとりへの支援の一つとして相談窓口機能は引き続き継続していきたいと思っています。
また、女性活躍推進法が4月1日から施行されました。会社と労働組合で連携しながら、全ての人にとってもっと働きやすい職場づくりをダイバーシティの観点からも推進していきたいと思います。

石井氏:変化に挑戦していくときに、キャリアなどを思い描くことや、ポジティブに取り組むための意識と行動を支えていきたいと考えています。一方、それを阻害する要因の一つとしてハラスメントがありますから、阻害因子を取り除きつつ、前向きな意識・行動を支援する、その両面で適切なサポートをしていきたいと考えています。
課題としては、ダイバーシティ、つまり多様性、多様な価値観というのは、逆に言うと一つにまとめることが難しいところがあります。だからこそ、私たち一人ひとりがいきいきと働くという目標に向かうときに、曖昧なイメージを持って行動するのではなくて、自分たちで「どのような姿を目指すか、そのためにはどのように行動していくか」ということを議論していく必要があると考えています。

ダイバーシティ推進について

岩崎:ダイバーシティの取り組みに関してはいかがでしょうか。

アステラス

清水氏:アステラスでは「多様性/Openness」つまり、多様性を尊重し刺激し合っている組織を実現するためには、女性活躍推進を含むダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進は不可欠であると考えています。会社からも「アステラス全体が女性活躍推進の重要性を理解し、目指す姿の実現のために一体となって取り組めるよう、意識や風土の醸成を進めていく。」と連携を受けています。労働組合としても、女性活躍推進は女性や上司だけが取り組めばよいものではなく、周囲の男性の意識も重要と考えていますので、組合員の生の声から女性活躍を考える企画を実施しています。<キララ☆プロジェクト2016>と名付けたこの企画は各支部の代表者として男女混合の11人のチームで時間制約のある中でも活躍されている方の講演や女性マネージャーの講演、各ダイバーシティの課題についての議論を深めてアステラス労働組合における女性活躍の目指す姿を検討しています。そこで出た結論をもとに今後の活動を考え、実践していき、会社とも連携していきたいと考えています。
私は個人的に、クオレ・シー・キューブの岡田先生の本『自分で決める、自分で選ぶ』(岡田康子著、東峰書房)で勉強させていただいた【インナーダイバーシティ®】がポイントだと思っています。自分の中のダイバーシティが充実することが、よりよいキャリアデザインへもつながるのではないかと思うからです。

岩崎:【インナーダイバーシティ®】は自分の中のダイバーシティ(多様性)がわかるから、他の人の中にあるダイバーシティを受け入れられる、という考え方ですが、さっそくその概念に取り組んでいただいているのは大変うれしいです。今後もぜひ共有させてください。本日は、貴重な、そして、嬉しいお話をありがとうございました。

<参加者感想>

  • ロールプレイをやる事で気をつける点、心がける点について少し整理できた。「聞く」「訊く」「聴く」の3つの違いを意識し、まずは相談者の信頼を得られるようにしたい。
  • 職場サポーターはマニュアルを読んだだけでは対応が難しいと思いますので、このような研修は続けた方が良いと思いました。
  • 実際にただ相談を受けるだけでなく、準備や色んな工夫・配慮が必要な事を感じました。相手の立場に立って考えるという事の大切さを感じました。
  • 窓口に連絡してこられる方は自分たちの想像以上に悩まれている方々で、解決等を導くのがゴールではなく、一緒に悩んであげる事も大切だと痛感しました。
  • 相談してくれる相手の事を知る気持ちを忘れず、寄り添ってあげられると良いなと思います。

〔2016年7月現在〕

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