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ハラスメント相談の現場からVol.65 “思い通り”からの解放

Vol.65 “思い通り”からの解放

新型コロナウイルスが世界中隈なく伝播し、今も容赦なく嵐が吹き荒れています。一時は「〇〇頃には落ち着くだろう」、「△△になったら普段の生活に戻れるかな」と思い描いていた期待が萎んでしまった中、元通りとはいかずとも何とか日常生活をかつての位置に近づける努力を私たちは始めました。ウィズコロナ、ニューノーマル、など命名することで気を取り直し、経済活動は着実に一歩ずつ前へ、との気運がこのところ高まってきています。

コロナに限らず、私たちは朝目覚めてから夜床に就くまでの間、一体どれくらい自分の思い通りにならないこと(もの)を抱えて一日を過ごしているのでしょうか。起床後見上げる空模様、仕事モードへ切り替わる通勤の道中、すでになんと数多の思い通りにならないことに取り囲まれていることか。

会社内で対人関係やコミュニケーションのもち方に躓きを覚えている人たちの話を聞くと、興味深い共通の不満が出てきます。管理層の人たちからは「どうして私の思い通りにやってくれないのか」、「言われなくても〇〇するのは当然だと思うんだけど」、若い人たちからは「どうしてこんなことも分かってくれないのか」、「〇〇してくれても良いんじゃないの」など。ある人にとっては誰にも反論の余地がない完璧なストーリーだと思えたとしても、現実に事がその通りに運ぶかどうかは甚だ疑問です。そこにはさまざま異なる価値観や思惑や感覚、気分や体調(背景、条件、事情と言い換えても良いかもしれません)を備えた人たちが関わり、それらの人々の間で独自の背景に色づけられた言葉、あるいは言葉にならない表現で情報がやりとりされるからです。

そもそも“自分の思い通りにする”はどういうことなのでしょう。答えが一つしかない単純作業であれば、思い通りにコトが運ぶことに何の不思議もなく、かつ業務遂行上“思い通り”がベスト解と考えられます。そうした作業は真っ先にAIに代わってもらえば良いのです。一方、私たちを取り巻く多くの“思い通りにならないこと”、すなわち、唯一絶対の正解をもたない問いについては、特定の誰かの思いを無理やり貫こうとするのではなく、かかわる人たち皆が頭を寄せ合って知恵を出し合うプロセスが重要なのではないでしょうか。思い通りにはならないことへの“諦め”と思い通りにやらなければならないという思い込みからの“解放”が、真の解決への鍵と考えます。

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