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ハラスメント対策の導入事例・実績一覧株式会社SUBARU 様
導入事例株式会社SUBARU 様
社外窓口との連携で、より身近で安心な相談制度に
相談対応を国内孫会社まで拡充
- ハラスメント
- セクハラ
- パワハラ
- コンプライアンス
- 提供サービス研修 相談窓口
- 規模1万人以上
コンプライアンス・ホットラインデスク担当者様
【コンプライアンス、ハラスメントに対する取り組みについて】
コンプライアンスの取り組みは、研修・教育が主たる活動になります。これについては法務部やコンプライアンス室が独自で行うものに加えて、人事部が制度化した階層別教育のカリキュラムの中に、「コンプライアンス研修」を織り込んでもらっています。
また社内制度としては、2003年から内部通報制度『コンプライアンス・ホットライン』を設置しています。
コンプライアンス研修では、自分が違反しないのは当然のこととして、社内の違反を「見逃さない、放置しない」ことをアナウンスしており、そこにつながる取り組みがこのコンプライアンス・ホットライン制度となります(*注=利用対象者は請負外注社員を含む全従業員。企業グループとしては国内の孫会社まで)。職場で何か問題がある時にはまずは上司に相談するように推奨していますが、トラブルの対象者が上司である場合や、相談しても上司のところで話が止まってしまう場合もあります。そういった時のバイパス(迂回経路)として、コンプライアンス・ホットラインを使うように案内しています。
ホットライン制度では、相談者が不利益を被らないように可能な限りの配慮をしています。デスクが設置されているのは当社内の防音対応がされた個室で、中に入って電話を取ることができるのは、コンプライアンス室および法務部の中でも限られた社員だけです。また、電話のみならず、コンプライアンス・ホットライン専用のメールボックスも設けて相談の受付を行っており、相談者のコンプライアンス・ホットラインの利用のしやすさにも配慮しております。
定例的に相談内容を共有する範囲はコンプライアンス室の管理職と、コンプライアンス委員長(取締役執行役員)を含む一部の経営層と監査役のみです。
【社外の窓口(職場のヘルプライン)を導入するメリットについて】
2008年からは、社外の相談窓口としてクオレ・シー・キューブの『職場のヘルプライン』と提携していますが、社内だけでは対応できない部分を充分に補っていただいていると考えています。
まず時間的・物理的な面ですが、社内窓口の担当者は限られますので、所用で不在の場合もあります。クオレ・シー・キューブには、就業時間以外の夜間や土曜日の相談を拾っていただくことで、制度を利用しやすくしています(*注=通話料はフリーダイヤル[無料]も訴求)。
次に精神的・感情的な面ですが、相談者には「社内窓口に具体的な話をすると自分を特定されてしまうのではないか」という心配があります。
そういった心配のある方については、より匿名性を確保でき、相談もしやすいという点で、外部窓口を設けている意義があると考えています。
また、外部窓口では、「産業カウンセラー」の資格をお持ちの方に対応していただいていますので、相談者も安心して話を聞いていただいていると思っています。
【社外窓口との連携について】
社外窓口に相談が入ると、翌営業日にはメールか書面で報告が届いています。相談内容を定型フォーマットで整理していただけるので、読んですぐに反応ができ、助かっています。最終的には私たち担当者が本人と直接連絡して真意を確認しますが、その前段階の準備としては最低限必要な情報をいただくことができています。
相談者が社内用語や専門用語で話した場合に、その部分の解釈や聴き取り方が難しいこともあります。その際にはすぐにこちらから電話やメールで確認させていただいていますので、連携は上手く取れていると思っています。
また、緊急を要する相談内容であれば、直ちにカウンセラーに相談者の電話口での状況等を確認させていただくことにしています。
【コンプライアンス・ホットライン制度の告知について】
制度の告知については、コンプライアンス研修で案内しているほか、ポスターをつくって各職場に貼っています。また、「所内報(月刊)」を発行している事業所では、その巻末でホットラインデスクを必ず紹介しています。
全社員には、社内外の相談窓口の電話番号を記した名刺大の「案内カード」を配布し、必ず社員証と一緒に携帯させています。
このように「ホットラインデスクが身近な場所にありますよ」と案内して、気軽に相談できる環境を整備することがコンプライアンスの取り組みにつながると考えています。
【相談件数とその評価について】
相談件数は2016年度までの3年間50件前後でしたが、2017年度は年間163件でした。これは相談(報告)を受けて実際に私たちが対応できた件数です。これらの件数には、本来であればコンプライアンス上の課題性が薄い人事関連の相談や問い合わせであっても、対応記録を残して対応したものは含めています。そのほかに、匿名のために具体的に対応できない案件や、上司に相談してみることをお勧めしてその後は連絡がない案件、あるいは担当者に話して気が済んだと思われるケースもありますが、それらは数に含めていません。
50件から163件という件数をどう評価するかですが、私たちホットラインデスクとしては、相談件数を減らすこと自体が活動の目的とは考えていません。まずはコンプライアンス・ホットライン制度を身近に感じて利用してもらい、社内の自浄作用の一環として機能させていくことが大切だと考えています。これと同時に、会社として再発を防止していくことは重要です。
これまでは「パッチ」をあてがうように、問題が起きた当事者に対処していくのが私たちホットライン・デスクの主たる活動でしたが、今後は人事部やその他の社内関係部署と連携しながら、問題発生の傾向を踏まえ、特定の研修や教育を実施していく必要性を感じています。
【人事部との連携について】
労務問題については、コンプライアンス室と人事部はパートナー関係ですので、どちらか一方がやるのではなく、お互いが協力し合って、共同作業として対処していく案件だと思っています。
2016年には、各事業所の人事課にハラスメント関係の相談窓口を設けるなど相談窓口の拡大を図り、これを機に人事部がパンフレット『パワハラ解説集』を作成し、その電話番号も既設のホットラインと一緒に案内しています。
【今後の課題について】
先ほど申し上げました、特定の職場や職位に対する研修・教育以外では、海外の子会社へのサポートですね。
海外は小さな会社が多いので、親会社としてもコンプライアンス体制への一層のサポートをしていく必要があると思っています。
クオレ・シー・キューブには、英語での相談受付のサービスがあると聞いていますし、いずれそういった点でもお力を借りる可能性があるかもしれませんね。
- 弊社 相談事業部 部長 西本 智子より -
労務問題というのは、初期の対応がとても大事ですが、その点、株式会社SUBARU様は、コンプライアンス室の内部通報制度『コンプライアンス・ホットライン』と人事部の階層別研修や相談窓口、さらには、私たちの『職場のヘルプライン』などを連携させ、相談の間口を広げることで、問題が大きくならないうちに対処する仕組みをつくっていらっしゃいます。
私たち社外相談窓口の利点は、①秘匿性がより高いこと、②相談レベルの段階では専門家が話を聴くことで問題点を整理しやすいこと、③就業時間(日)以外にも対応できること――などですが、匿名性の担保については、私たちが特に気をつけている部分です。
相談者が「この話が直接会社にいきませんよね?」と不安げにご確認されることも多いのですが、担当のカウンセラーから、①ご本人が希望しない限り匿名が守られること、②ご心配な場合は名前や所属が特定されないように抽象化して報告していること、などをお伝えし、安心してご利用できる制度であることをご理解いただいてから相談をお受けしています。
また、SUBARU様へ報告後には、その後の対応についても詳細なフィードバックをいただいているため、カウンセラーも自信を持って相談をお受けすることができています。
当社としては、今後もこうした連携を深めつつ、微力ながらも相談された方を取り巻く環境をより改善していくためのお手伝いをさせていただく所存です。
〔2019年1月現在〕