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ハラスメント対策の重要性ハラスメント対策と企業の責任
ハラスメント対策と企業の責任
かつては「セクハラなんて、当人同士の個人的な問題だから会社は関係ない」「パワハラ被害を訴える奴はもともと気持ちが弱いから、援助する必要はない」といった声が職場で聞かれることがありました。しかし、パワハラやセクハラの問題が個人の人生を大いに狂わせている実態を浮き彫りにした「#metoo」のムーブメントを境に、被害の深刻さと行為者への批判、事態を予防できなかった企業への厳しい声が高まりました。ILOでも2021年に「仕事の世界における暴力およびハラスメントの撤廃に関する条約(ILO第190号条約)」が発効され、世界的にもハラスメント問題の発生が企業の存続に大きな悪影響を及ぼすことが認知されてきています。
ハラスメント問題は、企業に問題解決の責任があります
ハラスメント問題は、企業が放置すると以下のような法的責任を問われる可能性があります。
該当する法律等
セクハラ | 男女雇用機会均等法 |
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マタハラ | 男女雇用機会均等法 育児介護休業法 |
パワハラ SOGIハラ |
労働施策総合推進法 |
パタハラ※1 ケアハラ※2 |
育児介護休業法 |
カスハラ | 労働施策総合推進法 |
仮にハラスメントと認定されないまでも安全配慮義務や職場環境配慮義務違反、また企業の使用者責任が問われ、損害賠償請求が企業に対しても行われます。
その他、脅迫行為や暴行罪、不同意わいせつ罪、性的姿態等撮影罪、など、ハラスメント問題は刑法犯罪に該当するものも含まれています。問題がエスカレートすることで、行為者が逮捕されたり、企業が裁判で訴えられたりすることもあり得ます。
企業が、職場のハラスメント問題を、対策もせず、ないがしろにできない理由はここにあります。ひとたびそうした深刻な問題が起きると、企業にとってそれは信用失墜を意味します。顧客はもちろん、取引先も失いかねません。さらには、人材不足の時代において、よい人材は流出し、新たな人材確保は困難を極めることでしょう。そうなると企業の存続自体が危機に瀕することになります。そうしたことからも、企業の責任として、ハラスメント対策に取り組み、企業成長の観点から、ハラスメント問題に真摯に向き合う姿勢が、今日、求められているのです。
- ※1パタニティハラスメント:男性が育児時短や育児休業を請求したり取得したりすることで不利益な扱いを受けたり、嫌がらせを受けること
- ※2ケアハラスメント:介護休業や介護時短を請求したり取得したりすることで不利益な扱いを受けたり、嫌がらせを受けること
ハラスメントが起きると
ハラスメントが起きると、それを受けた人(被害者)だけでなく、周囲の人たちにもさまざまな悪影響が及びます。また、それを行っている人(行為者)も無理を重ねているため、実は本人の健康リスクも孕んでいます。さらに当事者間だけでなく、職場全体での信頼関係を失い、マネジメント不全に陥ります。問題が明らかになれば懲戒処分、仕事を失うことにも繋がりかねません。さらに企業は大きな悪影響をこうむることになります。

職場のハラスメントは経営課題
職場のハラスメント問題はあくまで経営課題の一つです。そのうえで、どこまで本質に迫った対策が打てるのかがハラスメントフリーな職場づくりへのキーとなります。
職場のハラスメント問題に取り組み、ハラスメントフリー職場を実現するにあたっては、各社の持つ経営課題とリンクさせて目標を設定して取り組まれることをお勧めしています。
不正防止、労働関連法の対応に焦点を絞る「コンプライアンス課題の設定」、離職率の低下、女性活躍、能力発揮などを目指す「人材確保・育成面での課題設定」、労働環境の改善、組織風土の変革を目指す「職場風土を改善するための課題設定」、イノベーションの創出、異質性の融合を目指す「ビジネス発展上の課題設定」というように今必要な経営課題に紐づけて、各職場の状況に合わせた本質的な課題設定・改善施策を実施していくことが重要です。

計り知れない経済的損失
ハラスメントが発生すると金銭的にもさまざまな損失が発生します。
- メンタル不調者の増加、休職者の増加、退職者の増加などによる人材不足対策(外注費、臨時雇用、採用費)
- 被害者・周囲の人の集中力・意欲低下によるミスの発生や生産性の低下による損失
- 人事、コンプライアンス担当者の問題対応にかかる人件費
- 訴訟対応費、損害賠償費
- イメージダウンによる広告宣伝費の損失
- 強制的マネジメントによるイノベーションの損失(無限大)
年々強化される企業の法的責任
ハラスメント問題に関する行政の動向
1999年 | 男女雇用機会均等法 セクシュアルハラスメント防止条項 |
2001年 | 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律 |
2005年 | パワーハラスメント実態調査 中央労働災害防止協会 |
2007年 | 改正男女雇用機会均等法(強化)セクシュアルハラスメント防止条項 |
2009年 | 精神障害の労災認定基準の改正「いじめ嫌がらせ」認定項目の追加 |
2011年 | 精神障害の労災認定基準の改正「いじめ嫌がらせ」「セクハラ」認定の促進 |
2012年 | 職場のパワーハラスメント防止提言 |
2014年 | 均等法施行規則の改正 実施 |
2017年 | 改正男女雇用機会均等法マタニティハラスメント防止条項、LGBTに対するセクハラ防止義務、改正育児・介護休業法マタニティハラスメント防止条項 |
2019年 | 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律〔女性活躍推進法等改正法〕が成立 労働施策総合推進法にパワハラ防止措置義務を定める法案〔パワハラ防止法〕が可決 |
2020年 | 労働施策総合推進法〔パワハラ防止法〕 施行 (含、SOGIハラ) |
2020年 | 精神障害の労災認定基準の改正「パワハラ」認定項目の追加 |
2022年 | パワハラ防止措置義務 対象を中小企業まで拡大 |
2023年 | 不同意わいせつ等が刑事罰として新設 精神障害の労災認定基準にカスハラ追加 |
2024年 | フリーランス保護法 施行 |
2025年 | 4月 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例 施行 6月 カスタマーハラスメント防止措置義務 可決成立 就活セクハラ防止措置義務 可決成立 改正公益通報者保護法 可決成立(事業者への罰則強化) |
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ハラスメント対策の重要性とは
私たちがパワーハラスメントという言葉を考案・提唱し、社会に問題提起したのは、パワハラに限らず、様々なハラスメント問題が企業の成長や発展の阻害要因になると考えたからです。
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ハラスメント発生原因は何か
規模の大小や業種・業態に関わらず、職場ではハラスメント問題が発生する可能性があります。また、「セクハラはもうないがパワハラはある」ということもありません。
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ハラスメント対策の3ステップ
1000社以上のコンサルティング実績から、ハラスメント対策には3つのステップがあることがわかっています。