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ハラスメント対策の導入事例・実績一覧日本電気株式会社 様
導入事例日本電気株式会社 様
コンプライアンス推進・ハラスメント対策のポジティブな取り組み
~自浄作用が働く「風通しのよい」職場を、役員・従業員が自発的に作り出すきっかけにしたい!~
- ハラスメント
- コンプライアンス
- 提供サービス講演
- 規模1万人以上
NECコンプライアンス推進部長 尾崎 太三忠 様
NECコンプライアンス推進部 シニアマネージャ― 阪本 健太郎 様
NECコンプライアンス推進部 マネージャー 浜田 正宏 様
NECコンプライアンス推進部 マネージャー 村上 あき 様
NECコンプライアンス推進部 主任 江木 祥子 様
日本電気株式会社(以下、NEC)様は、AIや5Gなどの最先端ICTにより、社会や産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しておられます。DXで安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指して、事業活動を展開されています。
そのような中、NECのコンプライアンス推進部では、社会から信頼される組織となるために常に高い倫理観と誠実さを発揮する人材育成・組織づくりに尽力しておられます。今回開催された「NECビジネスエシックス2020」は、コンプライアンス推進部の取り組みの中でも重要な位置づけで、COVID-19の影響を考慮しオンライン開催されたこの社内イベントには約5000人社員の皆様がアクセスし、参加されたとうかがいました。
小幡 忍 執行役員兼CLCO(チーフリーガル&コンプライアンスオフィサー)による「NECビジネスエシックス2020」開会宣言では、11月18日を「NECコンプライアンスの日」としている背景をうかがい、COVID-19の影響下においてニューノーマル時代の黎明とともに、コンプライアンスリスクも変容していることへの警鐘を鳴らされ、高い倫理観と誠実さ抜きにして企業価値は無いとの言葉に、決意と覚悟が伝わって参りました。
新野 隆 代表取締役執行役員社長兼CEOからは、インテグリティとは組織が社会から信頼されるために必要なことであり、常に高い倫理観と誠実さを以って行動することの重要性のほか、社内調査の結果を提示されながら、相手の状況が見えないがゆえに、今まで以上に意識的に積極的にコミュニケーションをとっていくことや、管理職は自らの行動を振り返り、部下からの相談には真摯に対応することなど、そしてCode of Conduct(NECグループ行動規範)の実践についての具体的なお話がありました。
続いて開催されたコンプライアンス表彰の受賞式では、200を超える組織からオリジナリティや実行力などが評価された5部門が表彰され、受賞のスピーチでは皆様の真摯で地道な取り組みに胸を打たれました。
このように皆様が日々ご尽力されているなかで、私どもの代表・岡田康子による講演が、コンプライアンス推進部の皆様の取り組み、また、社員の皆様お一人おひとりの取り組みの、少しでも助けとなれたなら、という思いでおります。
今回の導入事例では、NECコンプライアンス推進部の皆様の日頃の取り組み、これからのコンプライアンス推進の課題などについてうかがいたいと思います。
―ご担当者の仕事・活動(どのようなことをされているのか)について、お聞かせください。
『コンプライアンスをNECグループの企業文化にする』という目標を掲げ、各種の取り組みを行っています。「NECコンプライアンスの日(11月18日)」には様々な施策を実行、従業員のコンプライアンスの意識向上と実践を促進しています。今回開催した「NECビジネスエシックス」も本施策の一つです。「NECビジネスエシックス」は2001年より、従業員のコンプライアンス意識を新たにしてもらう機会として実施しています。プログラム内容は社長メッセージ・外部有識者からの講演・NECグループ内で特に優れたコンプライアンスに関する取り組みの表彰などで構成されています。
2018年からは、コンプライアンス施策の進め方を、従来の「スタフ*主導型」から「事業部長によるオーナーシップ型」変更し、事業部長が自部門のリスクを見極め、自部門の特性に合った施策を実行し、スタフ*はその支援を実施するようにしています。(*スタフとは、いわゆる本社機能を指し、人事、経理、法務等、すべての事業部門に対して専門性を活かして支援を行う部門のことです。)
今年は、6月に「ハラスメントWeb研修」をNEC本体の全役員・従業員向けに、パワーハラスメント防止の法定義務化をうけて、ハラスメント全般の啓発を目的に実施しました。
8月にはNEC本体・国内グループ会社の各職場において、職場の風通しを良くするための具体的アクションを協議するイベント(職場懇談会)を開催。10~15名程度の集団でディスカッション形式で行いました。
また、同じく8月には「Code of Conduct(NECグループ行動規範)の実践」をテーマに「コンプライアンスWeb研修」をNEC本体・国内グループ会社向けに実施しました。こちらは毎年実施していて、今年は2020年4月に改定された Code of Conduct (NECグループ行動規範)の各項目を具体的な場面付きで取り上げ、最後に宣誓をフリー記述で書き込んでもらいました。
―今年の「NECビジネスエシックス」の課題・目的はどのようなことだったのでしょうか。
今年の「NECビジネスエシックス」では、「Code of Conduct(NECグループ行動規範)を実践して、風通しのよい職場にしよう」をテーマにしました。その背景には、昨年のコンプライアンス研修のアンケート結果があります。ここ数年間にわたり、一定割合のNEC社員が「職場の風通しが悪いと感じている、または、少なくとも良いとは思っていない」という結果が続いていました。同アンケート結果では「風通しの良くない組織ではコンプライアンス違反発生のリスクが高まる傾向がある」という傾向も示しております。また、NECでは昨年度にCode of Conductを改定し、今年度はその浸透をはかるための活動をしています。Code of Conductの中にも、部門長や上司に「風通しのよい職場を作る」責任があると明記されています。COVID-19の影響も踏まえオンサイトとリモートを適宜組み合わせる働き方が推進される中で、社内外とのコミュニケーション手段は大きく変化しました。コミュニケーションの内容や頻度が希薄化すると、コンプライアンス違反の兆候を捉えづらくなる懸念があると考えられます。事業部長との意見交換の場でも、気軽なコミュニケーションが取りにくいといった声が聞こえてきています。これらの要素から、NECコンプライアンスの日2020のテーマを、「Code of Conductを実践して、風通しのよい職場にしよう」と定めました。
―NEC WayとCode of Conduct(NECグループ行動規範)についてお聞かせください。
NECは、NEC Wayを2020年4月に改定しました。会社としての姿勢を示す「Purpose(存在意義)」と「Principles(行動原則)」、一人ひとりが良き企業人としてふるまうための指針である「Code of Values(行動基準)」と、「Code of Conduct(NECグループ行動規範)」からなっています。
Code of Conductで、「風通しの良い組織」という言葉が出てくるのは、「総則」の部分です。行動規範を遵守するための下地として、職場の風通しを良くするよう努めることが、すべての上司の義務として定められています。右側に「職場のムードをよくするのも、リーダーの大切な仕事です」とある画像は、今年度の「コンプライアンス研修」でも使われているものです。
「風通しのよい職場」という言葉は抽象的ですが、我々は次のように考えます。まずは、コンプライアンス推進の観点から、マイナス情報が早期に共有され、解決に向けて動ける職場。また、最近「心理的安全性」という言葉を時々聞くようになりましたが、問題点や意見を気兼ねなく発信し、議論できるならば、生産性の高い職場でもあると考えます。
―今回、弊社にご依頼いただいた経緯・目的はどのようなことだったのでしょうか。
上述したようなことから、今回の講演を、コンプライアンス違反を未然に防ぎ、自浄作用が働く「風通しの良い」職場を、役員・従業員が自発的に作り出すきっかけにしたいと考えました。本年6月にパワーハラスメント等を防止する措置義務が法定されたこともあり、今年度、会社として重点的に対応するリスクのひとつに「ハラスメントに関するリスク」を掲げていました。コンプライアンス推進部のメンバーが、他所で岡田様のご講演を聞いた際の、明快で引き込まれるお話ぶりを記憶しており、パワーハラスメント対策の第一人者である岡田様にぜひともご講演いただきたい、となりました。ご講演の内容としては、クオレ・シー・キューブの専門である「ハラスメント防止・対応」の観点からのメッセージを頂きたいと考えました。「NECビジネスエシックス」にはあらゆる階層の従業員が参加するので、管理職(上級・中間)と一般従業員、それぞれに向けてのメッセージとなることを願っておりました。
―講演後のアンケートなどでの評判、評価、皆様のお声、コンプライアンス推進部の皆様の感想など、お聞かせいただけますでしょうか。
今回のビジネスエシックスでは、大変多くの視聴者を得ることができ、また講演終了後の質問も期待していた以上の数が集まりました。事後アンケートでも、ビジネスエシックス聴講者の90%が岡田様のご講演を「とても良かった」「良かった」と回答しており、自由記述では「内容が腹落ちした」「自らの行動を省みたい」など、視聴者自らの行動につながるようなコメントが目立ちました。ビジネスエシックスの後に実施した別のイベントでも、「テレワーク環境の下で変化したコンプライアンスリスク」の一つとして、ハラスメントに関するリスクが挙げられるなど、ハラスメント問題に対する従業員の関心の高さを実感しております。 「今年のNECコンプライアンスの日は、コンプライアンスの大切さを改めて確認する機会となったか」というアンケート項目への肯定回答も、昨年比で大幅に伸びました。コンプライアンスという切り口から、風通しのよい職場環境の大切さを広く意識づける一定の成果があったものと思います。
―これからのコンプライアンス推進の課題はどのようなことになりますでしょうか?
NEC Wayの「Principles(行動原則)」のひとつに「常にゆるぎないインテグリティと人権の尊重」が謳われています。NECグループで働く一人ひとりにとって、人権の尊重を含めたインテグリティの具体的な指針となるのが「Code of Conduct(NECグループ行動規範)」です。Code of Conductを皆が実践できるように、その周知と理解促進を継続して行っていく必要があると考えています。また、現場の状況に応じた最適な施策を各組織が主体的に立案・実行していく「事業部長によるオーナーシップ型」の活動を定着させていくために、現場の各部門とのコミュニケーションをしっかり取りながら必要な支援を行っていきます。
このたびは、大変貴重な機会に私どもにご用命賜り、誠にありがとうございました。これからも御社のコンプライアンス推進とますますのご発展を陰ながら応援いたしております。ありがとうございました。
(文責:クオレ・シー・キューブ)
(2020年11月現在)