ハラスメント問題第2回 セクハラとパワハラの違い
こちらのアーカイブは、職場のハラスメントに関する解説を事例などを交えて記載しています。パワハラ・セクハラ防止研修の教材や職場におけるハラスメント防止の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご活用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)
知っていますか これもハラスメントです
第2回 セクハラとパワハラの違い
セクハラとパワハラは、「相手を傷つける許されない言動」であることは変わりませんから、本質的には同じです。ただし、パワハラのほうはより「迷い」が生じるのではないでしょうか。「厳しい指導をパワハラだと言われては、上司として指導ができなくなってしまう」という管理者の悩みは、多く聞かれます。
その場合は、「その指導は業務上必要なことか」「部下の成長に効果があるか否か?」を基準にすると、より分かりやすくなります。セクハラ言動が業務上必要な場合は極めて少ないですし、部下の成長に寄与することはほぼない、ということができます。パワハラについては、叱咤激励と称して「お前なんかいらない、帰れ」と言ったつもりでも、相手の存在を否定する言葉は、部下の成長に効果的かどうかは疑問です。
上司の役割において、人材育成の比率は年々高まっています。これまで疑問に思わずに職場で行われていたコミュニケーションや指導が、相手の成長にどのような影響を与え得るか、今一度チェックする必要があるでしょう。
そのほかセクハラとパワハラでは、法整備の順番や規定されている法律が異なります。セクシュアルハラスメントは1999年に男女雇用機会均等法で先に法整備され、パワーハラスメントは2020年に労働施策総合推進法で法整備されました。違う法律で規定されているものの、どちらも共通しているのは「職場に不要な言動」であり、問題が起こった際には事業主に問題解決の責任がある、つまり措置義務が課されている点です。
また、セクハラに関しては自社の社員が取引先等からセクハラ行為を受けた場合には、行為者側の事業主にも共同で問題解決にあたる義務が生じています。パワハラについては「セクハラ問題と同様の対応が望ましい」とされていますが、現段階では法整備には至っておりません。カスタマーハラスメントに注目が集まる中、今後何かしらの法整備が進むと思われます。
(2009年、2024年)