アーカイブハラスメント問題

ハラスメント問題第4回 労働法上の問題となるパワハラ

こちらのアーカイブは、職場のハラスメントに関する解説を事例などを交えて記載しています。パワハラ・セクハラ防止研修の教材や職場におけるハラスメント防止の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご活用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)

知っていますか これもハラスメントです

第4回 労働法上の問題となるパワハラ

家電量販店で働く今泉さん(仮名・35歳)のケース

今泉さんは、10年近くも元気で家電量販店で働いていた。6ヶ月ほど前、新しく店長が赴任してきたが、店長のやり方に身も心もズタズタになってしまった。店長は、売り上げ目標が達成できない月は「自分たちの責任は、自分たちでとるのが当たり前だ」として、従業員に無理やり商品を買うようにさせている。おかしいとは思ったが、反論すると後が怖いので、皆黙って従っていた。自分は買わずにいたが、朝礼で「非協者がいる」と、買わない人を責めるような発言があった。

また「売り上げに貢献していないものが、残業代をつけるのはおかしい」と言って、暗に残業代をつけないようにと、残業代をつけにくいような雰囲気を作っている。しかし、それはどうしても納得できないので、自分はちゃんと残業をつけていた。すると「残業代をつけるヤツは帰れ」と、業務用のイヤホンを通して2週間にわたって言われ続けた。その結果、苦痛で食事もできず、睡眠も取れない状態になってしまった。

仕事が絡むパワハラ
パワハラは、「業績上がらない」「能力が低い」という理由をつけて、指示や指導として行われる場合が多いため、言われた側も「自分にも責任があるのだから・・・」と思わされ、一線を越えた指導であってもそれに反論できず、我慢してしまう傾向があります。このように、仕事と絡めてのパワハラは、労働法上の問題として捉えることができます。不当な処遇や残業指示などが、それにあたります。このような事実があきらかになれば、会社もちろんのこと、行った者も当然責任を問われます。

気をつけたいのは、意図的な違法行為の指示はもちろん問題となりますが、直接的な指示を行わなくても、影響力のある人の「ほのめかし」は、指示とみなされます。さらに、「気を引き締めるつもりで・・」「自覚を持ってもらうつもりで・・・」という一言も、場合によっては相手が「強要された」と捉えることもあるかもしれません。管理者は、相手が間違った受け取り方をしないように、考えて発言する必要があります。

*当原稿は、中央労働災害防止協会発行【安全衛生のひろば】2009年4月号に掲載されたものです。

舘野 聡子/岡田 康子

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