ハラスメント問題第24回 人間関係のトラブルへの対応法
こちらのアーカイブは、職場のハラスメントに関する解説を事例などを交えて記載しています。パワハラ・セクハラ防止研修の教材や職場におけるハラスメント防止の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご活用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)
中央労働災害防止協会発行の 【安全衛生のひろば】に掲載された記事をお届けします
事例に学ぶ 人間関係のトラブル
第24回 人間関係のトラブルへの対応法
金融会社人事部に勤めて7年目の今春、山口雅美さん(仮名、20代)は、新設のコンプライアンス部に配転した。上司にミスを厳しく注意された新人から「これってパワハラですよね、上司を処分して下さい」との通報や、管理職社員から「『上司だってミスするじゃないですか』と部下に言い返され、指導もできない」との悩みなど、さまざまな相談が入ってくる。「当事者同士、うまくコミュニケーションがとれていれば問題にならないのに」と感じるケースがほとんどだ。しかし、中には相談者から介入を求められ事実確認を進めるうち、当事者間の関係がさらに悪化し、一方が部署異動せざるを得なくなったケースや、「絶対に周囲に知られたくない」と相談者から釘を刺されて適切な対応ができず、暗礁に乗り上げ相談者がメンタル不調に陥ってしまうケースも。「要望を聞いて丁寧に対応しているのに、どうしてうまくいかないのか」と山口さんに虚しさと疲労感が襲ってきた。
ひとりで問題を抱え込まない
男女雇用機会均等法等の法制化が進み、社内外に相談窓口を設置する企業が増えてきました。職場で起こるさまざまな問題に対し、大事(だいじ)に至る前に適切に対応することで働きやすい職場を作るのが目的です。窓口担当者は、相談者の気持ちに寄り添いながら事実を把握、確認し、問題点を整理して次のステップへつなげる大切な役割を担っています。十案件十色のためマニュアル通りにうまくいくとはかぎりませんが、原則はあります。その中でもっとも大切なのは、担当者が一人で問題を抱え込まないことです。新設部門を立ち上げたばかりの山口さんは、責任を感じて熱心に取りくむあまり、一人で解決しようと焦りが出ていました。窓口業務の役割や責任範囲を再確認しましょう。一次窓口担当者が白黒の判定や処分の決定にまで関わることは、まずありません。守秘義務厳守の下、同じ任を担う者同士で情報を共有し、必要に応じ他部署とも連携して解決にあたる体制作りが大切です。
*当原稿は、中央労働災害防止協会発行【安全衛生のひろば】2011年12月号に掲載されたものです。
カウンセラー 志村 翠