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ハラスメント対策の導入事例・実績一覧西武鉄道株式会社 様
導入事例西武鉄道株式会社 様
ゼロから立ち上げたセクハラ研修
- ハラスメント
- セクハラ
- ダイバーシティ・女性活躍・キャリア
- 提供サービス研修
- 規模千人~1万人未満
コンプライアンス室
課長 菅田 博之 様
弓削 陽子 様
菅田 博之様:
弊社は、全従業員約3700名中、女性社員が約400名。そのうち約250名は駅売店の販売員で、その他の部門に従事している女性社員は150名程度という職場環境です。そのため、長い間「セクハラ(セクシャルハラスメント)」という概念すらない状況が続いてきたのが正直なところだと思います。
2004年の不祥事をきっかけに、企業としてのさまざまなリスクを検討する中で、セクハラの問題についても検討し、試みに初めて全女性社員へのアンケート調査を実施しました。
率直な声を集めるために、社員には匿名で外部の業者にアンケートを郵送してもらい、回収から集計まですべてを外部に委託しました。返ってきた集計結果は想像以上に深刻で、セクハラ研修の実施に向けて動き出すきっかけになりました。
研修プログラムをスタートさせるにあたり、まず考えたのは「弊社の社内風土をよく理解してくれる会社と組みたい」ということでした。当時は男女ともに「何がセクハラか?」ということすら理解しきれていない状況だったため、頭ごなしに知識を講義するだけでは到底受け入れられない、と思ったのです。
実際に相談業務に従事している方に話していただくほうが、具体的な事例や日常業務に役立つ話を聞くことができて、社員の理解も深まると考えました。
HPなどを検索して情報を集め、私自身もクオレ・シー・キューブのパワハラ(パワーハラスメント)セミナーに参加した結果、弊社の社員に話をしてもらうには岡田さんがベストと判断し、研修を依頼しました。
女性社員向けの研修を・・・ テーマは「キャリアプランとセクハラ」
まず2006年4月に、役員対象の研修を実施。その後、管理職(部長、課長クラス)、女性社員への研修を実施し、昨年1年間で計9回の研修をお願いしました。
あえて女性向けの研修を実施した理由は、会社が「今後は、男女関係なく能力を発揮してもらう」方向で舵を切ったため、女性社員のキャリアプランが大きな課題になり、それと同時にセクハラについても単なる知識ではなく、「ひとりの職業人として生きていくには」という切り口で考える必要が出てきたからです。
クオレ・シー・キューブとはその点を綿密に話し合い、研修プログラムをカスタマイズしてもらいました。その結果、研修にはアサーションも取り入れています。たとえば「出張先で上司にセクハラされそうになった。あなたならどうする?」などの具体的な事例をあげ、自分ならどう対応するかを答えてもらうのです。「ニコニコ笑ってごまかす」と答えると、「それは犯罪なのだから、ビシっと言わないとだめです」と、岡田さんから指摘をされます。研修を通じて、自分の得意なパターンと苦手なパターンを理解し、普段の仕事でも上手に生かすことの大切さ、つまりキャリアとコミュニケーションの力を磨くことの大切さを実感できるのです。そして、このセクハラ研修の実施は社員にとって、何より「本当に会社が変わった」と感じられる出来事になっています。
弓削 陽子様:
以前は「女性のキャリアプラン」という言葉すら出てこない状況でしたが、会社が女性の積極的な活用に向けて方向転換したのを受け、また、クオレ・シー・キューブから「女性従業員の意識改革も必要」とのアドバイスもあって、研修をお願いしました。
参加者には、岡田さんが話した、 「これまでの女性は狭い水槽の中にいた"かます"のようなもので、活躍したいと思ってもすぐに壁にぶつかっていた。最初はそれに反発もするけれど、次第に壁の存在に慣れてしまい、やがて水槽の中をぐるぐる回るだけになる、そんな状態だったのではないか。しかし、今や時代が変わって水槽の扉が開かれた。企業側が女性にも活躍してもらおうと垣根を取り払ったのに、女性の側がまだ狭い水槽の中を回っているようではもったいない。これからは、50歳になったときに社会人として、一職業人としてどうあるべきか、長い目で考えてほしい。」という"かます"のたとえ話が、非常に新鮮だったようです。
弊社の女性社員の多くが自分のキャリアプランなど考えたこともなかったので、「会社が変わったのだから、自分たちの意識も変えていかなければならない」との声が多数寄せられました。
その後、実際に昇進試験を受けて活躍の場を広げたり、第一線で外部との交渉や企画立案を担当したりする女性社員が誕生しています。"寿退社"ではなく結婚後も仕事を続ける社員、妊娠を機に退職するのではなく産休をとる社員の数も増えました。研修をきっかけに、弊社社長をはじめ、会社がセクハラに対して厳しい態度で臨んでいることや、活躍のチャンスが与えられたことを認識することができ、「非常に心強い」と感じている女性社員が増えてきています。
今後はセクハラとマネジメント問題をコラボレートさせた研修を
菅田 博之様:
2007年度はセクハラ研修も2年目となるため、受講者が飽きないように、理解度が高まるように、実際の業務の中に落としこめるように、といった一層の工夫が求められます。
そのためには、人事部門が担っている「人材の育成」「長期のキャリアプランの形成」とのマッチングが必要です。5年~10年といった長期的視野に立ってセクハラ等のコンプライアンス研修プログラムを考えると、どうしても企業の人材育成に係る部分と重なるからです。セクハラの問題西武鉄道株式会社様2が起きたとき、一番身近にいる管理職がどう対応するかで、その組織の危機管理レベルがはっきりとわかります。ここに差ができてしまうと、何か起きたときに会社全体の危機管理体制を問われることになります。人事とコンプライアンス室との研修テーマを結びつけ、研修のやりっぱなしを防ぐために、2007年度は人事部門と共同で研修を進めるべく、現在、具体案を検討しているところです。格好良くいえば、人事部とコンプライアンス室のコラボレーション企画ですね。その中でセクハラと職場運営、つまりマネジメント問題は密接に関連していることを、更に意識させていきたいと考えています。
今後はより長い目でコンプライアンス研修を企画し、実行する方向へシフトして行きます。2007年度はその転換期になる重要な年だと思います。
- 弊社 岡田康子より -
西武鉄道様はご担当の方々が本当にご熱心で、どのように取り組んだらよいか真剣に取り組んでおられました。そして社長はじめ役員の方々も積極的に受講され、ともにディスカッションをされたこと、その事実が「会社は本気なんだ」という何より強いメッセージになったのだと思います。セクハラ防止研修は女性の能力を発揮期待するものであり、「セクハラのない職場作りは男性だけの責任ではなく、女性も参画していかなければならない」という考えがよく理解された好事例ではないでしょうか。
〔2007年現在〕