メンタルヘルス問題職場のメンタルヘルス問題とハラスメント対策(3)
こちらのアーカイブは、職場のメンタルヘルス問題、メンタルヘルスとハラスメント対策の関係性、職場のストレスとメンタルヘルスの関係などを紹介しています。職場のハラスメント防止策の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご利用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)
職場のメンタルヘルス問題とハラスメント対策(3)
ハラスメント問題と職場のメンタルヘルス問題を併せて考えたとき、管理者層のストレスは大幅に増幅します。『会社からは業績アップを迫られ、部下にはちょっとしたことでパワハラだのセクハラだのいわれて、おまけに休職する部下までいるなんで・・・・』と嘆いている人も多いのではないでしょうか。この嘆きはそのまま、管理者自身のメンタルヘルス問題へと発展していきます。企業組織を支える30代後半~50代の管理職のストレスは、今まさに最大に膨れ上がっているでしょう。
パワハラもセクハラも、頭ではわかっているけどつい・・・という形を取ることが多くあります。その場合は、その『つい・・・』が何故起こってしまうのか、根本的に考える必要があります。それは『期限が迫るなど余裕のなさ』なのか、『疲れ果てた結果のストレスのはけ口』なのか、『誰かが自分のポジションを脅かそうとする不安』なのか・・・、他にもたくさん考えられるでしょう。人間ですから、そのような感情がわきあがること自体を否定する必要はありませんが、衝動的にそれを表出させれば、人間関係がギクシャクすることは間違いありません。『つい・・・』と感情的になりそうなときは、とりあえずその場を5分離れて深呼吸するだけでも、衝動的なハラスメント行為を抑えることができます。
また、部下に言いたいことがあっても『こんなことは言ってはいけない』と言わずに我慢してしまう人は、いつかその感情が爆発してパワハラになったり、メンタル不全になったりすることがあります。いいたいことがあればその場ですぐ『アイ(I)メッセージ』で伝えておくことです。これは『私は~~~と思います。』と主語を『私』にすることで、相手を過剰に傷つけることなく、自分の気持ちや考えを伝える方法です。特にパワハラに関しては、『パワハラといわれてしまうから部下を叱らないでおこう』という誤解が生じがちです。企業組織である以上部下指導は必要ですし、業務上必要な叱責も管理職の大切な仕事です。臆せずに『その場で、その行為について、シンプルに』アイ(I)メッセージで伝えましょう。
パワハラについては、熱心な部下指導との線引きが難しいという話が聞かれますが、その場合は『その熱心さは誰のためなのか』を考え直す必要もあります。部下のためといいながら管理職自身の成功体験を押し付けていないでしょうか。『仕事とはこうあるべきだ』『こういう場合は、自分の言うとおりにしておけばいいんだ』といった思い込みが、部下を追い詰めている可能性があります。このような自分勝手な思い込みで部下が望みどおりに動く可能性は低いので、むしろ管理職のイライラが増幅して『お前のためを思っているのにどうして言うことを聞かないんだ!』とストレスがますます溜まってしまいます。部下が指示通りに動かないのには何か理由があると考えて、自分の中に潜む思い込みを修正できれば、部下だけでなく自分も気が楽になります。
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これらのアドバイスをまとめると
- 感情的になりそうなときは、その場を離れて気分転換をする
- 言いたいことは我慢せず、その場で伝える
- 思い込みを捨てれば、自分も相手も楽になる
ということになります。つまり『自分を大切にする』ということに他なりません。
自分を大切にするために、今できることは何でしょうか。1つだけ決めて、今、実行してみてください。また時々立ち止まって、そのことに向き合う時間を持つようにするだけでも、管理職自身のメンタルヘルスを向上させるのに役立ちます。そうすれば部下のメンタルヘルスの向上にも、よい影響が出てくることでしょう。 部下のメンタルヘルス向上を目座すなら、まずは管理職の皆さん自身を大切に。
(株)クオレ・シー・キューブ 稲尾 和泉 (2009/8/28)