ハラスメント問題ハラスメント研修で効果を上げるには
こちらのアーカイブは、職場のハラスメントに関する解説を事例などを交えて記載しています。パワハラ・セクハラ防止研修の教材や職場におけるハラスメント防止の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご活用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)
ハラスメント研修で効果を上げるには ~質問多用し参加意識高める~
「弁護士がセクハラ、パワハラ研修で話をするが、あれはダメ、これはダメと脅されるばかり。役立つセクハラ・パワハラ研修のあり方を教えてほしい。」という質問をいたださました。他の研修はよくわかりませんが、私の経験をお話したいと思います。私もよく研修の講師として招かれて行きますが、最初は「この忙しいのに、セクハラ研修か」といった顔をされます。会社のためや企画担当者のための研修だと思われたら、お付き合いさせられているという気持ちになってしまうのも無理はないと思います。
研修で効果をあげるには、ここで学ぶことが自分のためになるという主体的な動機づけが肝要です。会社にはハラスメントを放置することのリスクがたくさんありますが、それ以前に被害者、加害者のダメ-ジは計り知れないのです。
たいていの場合セクハラの加害者は、「そんなつもりはなかった」、パワハラの加害者は「それほど傷つくなんて、教育しただけなのに」とおっしゃいます。ハラスメントはいつのまにか被害者にも加害者になってしまうこともあり、誰にも関係する問題だというという当事者意識を持ってもらうことが大切です。自分のために学ぶという意識を持ったときに聞こうという気持ちになります。内容の良し悪しはそれからです。
私は「あなたのことですよ」と注意をひき、「こんなこともハラスメントですよ」と関心を持ってもらい、「なぜそんなことが起きるのかという」疑問を抱かせ、「どうしたらいいのか」という行動レベルの解決策を提供するよう心がけています。脳科学の研究によれば、記憶に残るには感情を刺激することだそうですが、私は事例を会話調で話すことで感情に訴えて、印象に残るよう工夫しています。
研修の進め方としては、質問や演習を多用するのが効果的だと思います。大きな講演会では双方のやり取りは難しいのですが、それでも質問を投げかけて、考える間をおくだけでも参加意識を高めることはできます。
一方的に話すだけで参加者が飽きずに理解できるのなら、相当スキルが高いベテラン講師だと思います。学習効果は聞くだけより、図表や映像を見ることを合わせた方が高まります。考えることや書くことをプラスするとより効果的です。
また自分の考えや意見を持って人と話すようにする研修も高い効果が期待できます。そのために時間があればチェックリストを使ったり、ケース検討、ロールプレイなどを行っています。職場で本当に役立つ研修が提供できたかどうかは不明ですが、少なくとも会場では満足していただくことが私の目標です。
(株)クオレ・シー・キューブ 岡田 康子(2008)