ハラスメント問題第3回 法にも触れるパワハラ
こちらのアーカイブは、職場のハラスメントに関する解説を事例などを交えて記載しています。パワハラ・セクハラ防止研修の教材や職場におけるハラスメント防止の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご活用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)
知っていますか これもハラスメントです
第3回 法にも触れるパワハラ
事務機器の販売代理店に勤める矢島さん(仮名:35歳男性)のケース
新しい店長が赴任してから、納得できないこと多い。「営業で、いちいちパーキングなんか利用しているバカがあるか」と、駐車違反を強要するようなこと言う。売り上げが達成できないと、「悪いと思うなら、頭を丸めてこい」とか、「貧乏神」などとののしり、肩を小突いたり、椅子を蹴飛ばすようなこともある。
また、本社への売上報告や在庫が現実とあわないこともときどき起きているので、店長に尋ねると「俺のやることに文句があるのか? お前らのできの悪いのをカバーしてるんだ」とすごんでくるので、皆怖くて何も言えなくなっている。
本社からの問い合わせが入ったときには、「余計なことを言ったら、どうなるかわかっているだろうな」と口止めされているので、本当のことは言えない。店長も怖いが、悪いことに巻き込まれて、自分も咎められないか、と心配でたまらない。」
パワハラの領域
パワハラには、さまざまなレベルものがありますが、大きく分けて法的な問題があるものと、法的な問題にまでは至らないが、職場の健全性に問題があるものの、2つに分けられます。法的問題の場合もさらに、
- 刑法や商法などのレベル
- 労働法などのレベル
- 健康問題
などのレベルに分けることができます。
この事例は、駐車禁止を強要したり、経理上のごまかしがあったり、暴力を振るうなどの問題が見受けられますので、法的問題1の領域の刑法、商法などに触れるものです。このような問題があった場合は、自分さえ我慢すればいいという問題ではありません。違法行為なので、放置すれば会社の存続も危ぶまれる事態ととらえて、しかるべき部署に相談・通報することが大切です。
このような通報者を守るための法律も整備されていますので、告発や通報とはまではいかなくても、法律に触れていないかどうか、社内の窓口や法務担当に相談してみるだけでもいいでしょう。
*当原稿は、中央労働災害防止協会発行【安全衛生のひろば】2009年3月号に掲載されたものです。
舘野 聡子/岡田 康子