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ハラスメント・インサイトジェンダーギャップ指数とバイアスの関係
ジェンダーギャップ指数とバイアスの関係
今日、人権やジェンダー、雇用形態、雇用環境、経営問題、心理、人間関係など様々な問題と複雑に絡み合っているハラスメント問題に関するインサイト(洞察)を読み解き、今、職場づくりで求められていることを、ハラスメント対策の切り口として示して参ります。
ジェンダーギャップ指数116位の日本
世界経済フォーラムが2022年7月に公表した「ジェンダーギャップ指数2022」によると、日本の順位は146カ国中116位で、先進国だけでなくアフリカや周辺のアジア諸国よりも低い順位となっています。
- ※参考】世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2022」を公表
日本はかねてから、女性の政治参画(139位)と経済界への参画(121位)が大きな障壁となっていますが、小項目の中でも特に女性管理職比率は130位で、女性活躍推進法が制定されているにもかかわらず変化していないのが実際です。また、日本では「専門職および技術職の労働者」という小項目には数値の記載がなく測定されていませんが、他国では完全平等となっている国々が散見されます。(オーストラリア、アメリカ、ボスニアヘルツェゴビナ、イスラエル、パラグアイ、タイ、ベトナム、ジンバブエ他多数)
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日本社会の根強いジェンダーバイアス
私自身も技術職には男性が多いという現実に慣れてしまっていることもあり、改めて日本社会のジェンダーバイアスの根深さを実感しました。実際に製造系や建設系の企業では、「採用で応募してくる女性がそもそもいない」や「女性は出産や子育てで休職してしまうので管理職登用がしにくい」という声がいまだに聞かれるのですが、諸外国の数値を見る限りその考えに根拠があるとはいえません。そのようなバイアスから解放され、採用から管理職登用までどのように人材定着、育成を図るのか、世界各国の実例を参考に対策を急ぐ必要があるでしょう。
一方、教育面では、日本はどの小項目も1位となっています。つまり、教育は男女平等なのに就職すると途端に男女が平等に扱われなくなるのが、日本の特徴なのです。数年前、大学受験で合格点に男女差をつけられ、本来は合格していたはずの女性たちが不合格となったことがありましたが、同じことが企業の採用場面でも起こっていないでしょうか。
そして、健康面(63位)では軒並み順位が高いものの、「平均寿命」の項目では男性よりも女性が長生きしていることが、むしろ順位を落とすという状況です。裏を返せば、恒常的な長時間労働や男性ばかりが管理職登用される現状が、男性の寿命を縮めているように思えてなりません。
日本社会に根強く残るジェンダーバイアスは、このように個人や企業に暗い影を落とし続けています。多様性と調和のある職場は一朝一夕にはできません。手を打つか打たないかによって、企業の存続が大きく左右されます。まずは身近なジェンダーバイアスに気づき改善していくところから、始めてみませんか。
私どもは職場づくりのご担当者からのお問い合わせを常時受け付けております。お問い合わせはこちらからどうぞ。
(2022年10月)

稲尾 和泉(いなお いずみ)
株式会社クオレ・シー・キューブ 取締役
2003年4月より株式会社クオレ・シー・キューブにてカウンセラーおよび主任講師。産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント、精研式SCT(文章完成法テスト)修士、日本産業カウンセリング学会会員。厚労省「パワーハラスメント対策企画委員会」委員、人事院「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会」委員などを歴任。官公庁や民間企業における研修講師として登壇、全国紙・専門誌での執筆、インタビュー多数。専門はハラスメント、女性活躍推進、ダイバーシティなど。
『上司と部下の深いみぞ~パワー・ハラスメント完全理解』(紀伊国屋書店)共著、『あんなパワハラ こんなパワハラ』(全国労働基準関係団体連合会)著、『パワーハラスメント』(日本経済新聞出版社)共著など多数。
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- 原 昌登
成蹊大学 法学部 教授 - 津野 香奈美
神奈川県立保健福祉大学大学院
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認定特定非営利活動法人ReBit(リビット)所属 - 稲尾 和泉
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