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ハラスメント対策最前線職場のメンタルヘルス問題に関する動向、最近の事例と企業組織の対応や留意点について(11)
ストレスチェックとストレス対処法
ストレスチェック制度
ストレスチェック制度の進捗状況はいかがでしょうか?
ここでストレスチェック制度の目的を再確認しておきましょう。ひとつは、ストレスチェックを通して“自分のストレス状況に気づき、心の不調に陥るリスクを減らすこと”、もうひとつは、企業が“職場におけるストレス要因となり得る職場環境を改善しメンタルヘルス不調者を出さないように予防する”ということです。
各個人はストレスチェックの結果を通して、ストレスを気づくチャンスになり、セルフケアにつなげることができるのです。
ストレス対処法
セルフケアとは、メンタルヘルス対策における『4つのケア』のうち、一番基本に位置づけられるケアです。その内容としては、①ストレスに関する知識を身につける ②セルフケアの重要性やメンタルヘルスに対する正しい理解 ③ストレスに気づく ④ストレスの対処方法 ⑤積極的に相談 ⑥職場のメンタルヘルスケアの方針や相談窓口などの情報収集・・・などが挙げられます。まず、自分自身の不調や高ストレス状態に気づくことです。ストレスコントロールの基本は心身の休養です。休養しても解決されないときは積極的に人に相談しましょう。
さて、心身の不調に陥らないために規則正しい生活習慣がのぞましいことは言うまでもありません。自律神経の調整のためには良質の睡眠、バランスの取れた食事が重要です。そして家族や友人、同僚と良好なコミュニケーションがとれていれば、よきサポーターになってくれるはずです。小さなストレスでもひとりで抱え込まず、まず誰かに相談することが大切なのです。さらには自分に合った趣味をもつことです。できれば、『癒し系』と『発散系』の両方の趣味をもつことを勧めています。例えば、癒し系の趣味とは音楽鑑賞、読書、絵画、書道などです。発散系としては運動、カラオケ、楽器演奏などです。
ところで飲酒でストレス発散という方がいますが、適量の飲酒は百薬の長としてストレス発散に役立つとしても飲み過ぎは禁物。肝機能障害、アルコール依存症などの病気を引き起こしてしまうかもしれません。ちなみに一般的なアルコールの適量とは1日に約20g。ビールなら1缶、日本酒なら1合、ワインならグラス1杯程度です。睡眠薬代わりの寝酒も睡眠の質を低下させ、お勧めできません。1日の疲れはその日のうちに解消したいものです。入浴(半身浴)、ストレッチなどの軽い運動でリラックスすること。1週間の疲れは週末に散歩、映画鑑賞、趣味などで気晴らしをしましょう。そしてワンシーズン溜まったストレスに対しては長期休暇を取り、旅行など非日常を楽しみ、リフレッシュすることが望ましい。大掃除もお勧めします。
よきサポーターと趣味をもつこと、そして生活リズムが少々乱れても早めに修正する自らの心構えや努力こそがストレス対処のポイントだと思います。
(2016年5月)
苅部 千恵(かりべ ちえ)
所属 (かりべクリニック院長)
1980年 横浜市立大学医学部卒業
1980年 九州大学医学部心療内科勤務(九州大学医学部)
第一内科、第三内科、心療内科にて研修及び研究
1987年 東京大学医学部心療内科勤務
1994年 昭和大学医学部附属藤が丘病院勤務(兼任講師)
1995年 医療法人財団健生会勤務(理事)
1998年 かりべクリニック開業
【所属学会】 日本心身医学会 日本産業衛生学会 日本産業ストレス学会 日本心療内科学会 日本東洋医学学会 日本うつ病学会 |
【資格】 医学博士 労働衛生コンサルタント 日本医師会認定産業医 心身医療「内科」専門医 |
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