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パワハラを認定するときのチェックポイント

Q人事労務担当者として、職場のパワハラ(パワーハラスメント)を認定するときのチェックポイントはどのようなものでしょうか。
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A まず大切なことは、すべての従業員に【わが社におけるパワハラとは何か】【わが社ではパワハラは行なってはいけない行為だ】ということを、会社として周知徹底させておくことです。昨日まで行っていた厳しい指導を、ある日を境に突然「パワハラだ」と認定されたのでは、行為者本人も納得できず、問題がこじれてしまいます。さらに、人事労務担当者が個人の見解で「それはパワハラだから処分に該当する」と言ってしまうようでは、そのこと自体がパワハラになってしまいます。ですから、パワハラ防止を組織のルールとして周知して、その合意事項に反した行動をとった人に対しては、処分もありうることを、あらかじめ会社として宣言し、就業規則や行動規範に掲げて、研修等で伝えておきましょう。パワハラ防止規定がまだ整っていない場合は、当HPより雛形をダウンロードできますので、参考にしてください。

パワハラ防止規定ダウンロード

そして、具体的なパワハラの案件があがってきたときには、あらかじめ決められたハラスメント問題解決手順に沿って、公正に対応していく必要があります。どのような出来事があったのか、そのときの職場がどんな状況だったのか、被害者は一人か複数か、などを具体的に、正確に確認することです。もちろん、被害者だけでなく、行為者に対しても事実確認を行います。

そして、行為者に対する事実調査を行うときには、特に注意が必要です。事前に聴いた被害者の苦しい気持ちや怒りに影響されすぎて、行為者をいきなり犯人扱いしてしまうことが、頻繁に起こります。あるいは反対に、「あの有能な部長が、そんな酷いことをするわけがない」と能力や職位の高い人をかばってしまい「そもそも被害者側にも問題がある」など、起こった事実とは関係のない部分で、事実が歪められてしまうこともあります。特に社内の人材で事実確認をする場合は、被害者も加害者も人事労務担当者がよく知っている人ことが多く、このような‘先入観’が付きまといます。そのような場合は、当事者とは直接仕事をしたことがないなど、比較的中立な立場で話を聴けるメンバーと一緒に聴いていくなど、組織として冷静に、客観的に対応することが大切です。

そのような点に注意して、中立的な立場で事実調査した結果、周知した組織のルールに抵触するようなことが起きているかどうかをチェックしていきます。もしも社内規定に抵触していれば、パワハラとして処分も含めた適切な対応をしていきます。

また、パワハラと認定してすべてが終わるのではなく、このような事実調査から処分に至るまでの経緯と結論については、すべて会社として記録に残しておきます。問題がこじれて、万が一裁判になったときには、会社としてどのような対応をしたのか、記録の提出を求められる場合があります。数年前の問題を掘り起こされることもありますから、担当者が変わっても分かるように、ファイル等に整理をし、個人情報の保護にも厳重に留意して保管しておくとよいでしょう。

(2011年)

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