セクハラ防止研修を非管理職の従業員にどうしたらもっと関心を持ってもらえるのか?
- Qセクハラ(セクシャルハラスメント)防止研修を非管理職の従業員に行おうと思いますが、告知をしても「何故自分たちがセクハラ防止研修を受けるのか?」「上司だけが受ければいいじゃないか。」など、あまり反応がよくありません。どうしたらもっと関心を持ってもらえるでしょうか
- A一般的にセクハラの加害者は上司など管理職層が多い、という印象があることから、一般職や派遣社員等にセクハラ防止研修の実施を告知すると、ご質問にあったような反応が見られることがよくあります。そのため、全従業員に対するセクハラ防止研修を実施するのを躊躇してしまうこともあるようです。
セクハラ防止研修は、男女雇用機会均等法における事業主の措置義務に明記されている「事業主の方針の明確化、およびその周知・啓発活動」の一環として行われていますが、その中には「管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること」と明記されています。(厚生労働省 都道府県労働局雇用均等室発行 平成22年11月発行パンフレットより)
つまり、セクハラ防止研修は、管理職だけを対象に行うのではなく、全従業員を対象に行わなければならないのです。受講生には、こうした法律の背景があって、全従業員に対してセクハラ防止研修を行っていることを、研修の告知の段階で明確に伝えなければならないでしょう。
その上で、セクハラ問題を管理職の問題とだけ考えるのではなく、自分の身近な問題として捉えてもらう必要があります。そのためには、最近のセクハラ問題の傾向を伝えていくことが肝要です。
最近のセクハラ相談で特徴的なのは、行為者が上司とは限らないケースが増えているということです。例えば、最近急激に増えているセクハラ相談の中には、「メールで繰り返し食事やドライブに誘われて、とても困っている。やんわり断っているが、しつこく誘ってくる」というようなケースがありますが、行為者は上司だけでなく、職場の同僚や先輩など一般職の従業員であることもたくさんあるのです。行為者としては、職場の女性へ恋心を抱き、デートに誘おうとしているだけだと主張するかもしれませんが、相手が断っているにもかかわらず繰り返していれば、セクハラ行為の可能性があります。職場では、上司に限らず同僚同士の間にも「断れないような力関係」が潜んでいて、それを無意識に使っている人も多いのです。一般職の皆さんも、知らず知らずのうちに行為者になっているかもしれない、ということに気づいてもらわなければなりません。
一方で、このような誘いをはっきりと断ることも必要です。そのため、弊社では女性従業員を対象としたセクハラ防止研修の中に「気まずくならないスマートな断り方」を学ぶ演習を盛り込んでいます。あいまいな返事を繰り返すことで、相手に誤解を与えないように、早い段階できっぱりと断っていけるようにしないと、いつの間にか酷いセクハラ行為を受けてしまう可能性があることを注意喚起しなければ、セクハラ行為はなくなっていかないでしょう。このように、一般職の皆さんにも実際に役立つ情報を盛り込んでいけば、「やっぱり受講してよかった」というセクハラ防止研修をおこなうことができるでしょう。
(2010年)
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