効果的なパワハラ研修実施に必要なこと
- Q効果的なパワハラ研修実施の為に必要なことは何でしょうか?
- A必要なのは、パワハラ研修について、受講者に積極的な参加を促し、自分のこととして考えてもらうことです。
なぜならば、パワハラ研修を積極的に受講したい人は多くないのが実態だからです。私どもで実施する研修でも「仕事が忙しいのに…」「自分には関係ない」といった面持ちの方をよくお見かけします。
企業としてはパワハラ研修実施の理由は、「パワハラ問題が発生したから」「人権研修のテーマだから」「義務だから」など様々だと思います。 そのため、ご担当者としては、せっかく研修を企画するのであれば、受講生に真剣に参加してもらい、結果として職場でパワハラが発生しないようにしたいところです。
そこで次に、受講者が積極的に参加し、パワハラについて自分のこととして考えるために、具体的にやるべきことをお伝えします。
- 1.事前にアンケートを実施する
実施までに時間的な余裕があれば、事前アンケートなどで、職場の現状を把握することをお勧めします。研修の内容を検討するにあたっても、「誰からパワハラを受けることが多いのか」「パワハラの発生割合」「どのようなパワハラが起きているのか」を把握することで、何を防止すればよいか、どの層にどのような知識を身につけてもらうかが、より明確になります。また、職場アンケートの結果を研修で共有すると、「他人ごとではない」という理解にもつながります。 - 2.対象ごとの目標の設定
パワハラ研修は、再発も含め、ハラスメント防止を目的に行われるものですが、そもそも、パワハラが立場の違いから生じるパワーを利用したハラスメントであることを理解することが重要です。そのため、役職や年次、ラインごとに分けたグループ研修を実施することで、それぞれが持つパワーに気づき、自分に関係する問題だというメッセージを明確に伝えることが必須です。 例えば、管理職には自らのパワーを適切に指導に生かす方法を、一般社員にはパワハラを自ら招かない働き方、パワハラと思われることがあった場合の相談先などを伝える必要があります。このように対象を分け、研修で到達すべき目標を設定することで、受講者の理解がより深まると考えます。 - 3.受講の順番
課長職を対象にパワハラ研修を実施すると、「経営層や部長に受けてもらいたい」「上司が出来ていないものをなぜ自分たちだけ」と不満が出てきます。日ごろ指導している中間管理職層だけにパワハラ防止研修をしても、さらに上の階層の人たちがパワハラ予防の重要性を理解していなければ、問題はなくなりません。まずは上層部から研修を行った上で、課長→係長→一般社員の順に実施するのが望ましいと考えます。 - 4.内容と効果のバランス
研修実施の際に、忙しい管理職にせっかく集まってもらうのだからと、たくさんの情報提供をしたい思いが募ることがあります。しかし、内容が盛り沢山になると、研修終了後、学んだことがあやふやになりかねません。研修の目的はポイントを絞り、十分に理解できる内容にしたほうが受講者の印象にも残り、高い効果が望めると考えます。 また、研修に適した人数もあります。一般的な知識を獲得することが目標であれば、講義中心の研修で、ある程度多人数でも目標達成は可能でしょう。一方、自分の行動や考え方を振り返り、パワハラをしないための行動を理解するところまでを目標とするのであれば、ディスカッションなどを取り入れ、自分で考える、少人数での研修にした方が効果的です。効果を上げるために、目標に応じた研修の実施方法を十分に検討しましょう。
研修の場は、単に情報を伝達するだけではなく、会社としてのハラスメント対策への取り組み姿勢を全社に理解してもらう貴重な機会です。「何のためにパワハラ研修をするのか」「どのような職場になることを目標としているのか」、組織の目標と連動する内容にすることで、ハラスメントフリーな職場づくりへの意識づけを可能にします。
(2023年5月更新、2009年初出)
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