セクハラ加害者に自覚を促す研修とは
- Qセクハラ(セクシャルハラスメント)防止研修を実施して、そのレポートを受講者全員に書いてもらったのですが、日頃からセクハラ発言することで有名なマネージャーが、「職場でのセクハラ発言は絶対に許されるべきではない」などと書いてきました。本当にその自覚があるのか疑問です。このような人にはどんな研修をするのが効果的でしょうか。
- Aセクハラ防止研修は、男女雇用機会均等法の定めにより、どちらの企業でも定期的に実施していることと思います。しかし、その内容は比較的目新しいものではなく、同じ内容を繰りかえし啓発していることも、少なくないでしょう。
そのような中で受講生にも慣れが生じて、レポート提出をしてもらっても、模範解答で提出するマネージャーが増えているようです。このような「頭だけでわかっている人」に、本当の意味でセクハラ防止を理解してもらうには、どのようにすればよいでしょうか。
セクハラ防止研修で重要なのは、できるだけその内容を身近に感じてもらうことです。しかも、加害者になり得るマネージャークラスへの研修では、「もし自分が加害者として訴えられたら、どうなってしまうんだろうか」を、リアルに感じてもらうことが重要です。
実際に、セクハラ加害者が全く自分のセクハラ言動に気づいていない人の場合、自覚のないままに、ある日突然、セクハラ加害者として会社から事実調査を受けることになります。そもそも、人事部等から突然呼び出されることもショックですが、身に覚えのないことで会社から疑念の目を向けられることに対して、大きな怒りも感じるでしょう。しかし、セクハラは「受けたものの不快感」が基準になることから、「自分に悪気はなかった」「相手がNOと言わなかった」という言い訳は通用しません。事実調査が進むにつれて、自分がセクハラ言動に無自覚であったことに、徐々に気づいていくことになります。そうなって初めて、「自分の将来がどうなるのか、処分を受けるのか、それとも左遷されるのか・・・」などという不安や絶望感に襲われます。
昨今、セクハラ加害者は、その程度にもよりますが懲戒処分になることも珍しくありません。実際に懲戒処分となれば、今度は家庭不和の問題が起こります。自分の配偶者がセクハラの加害者として処分を受けるということが、家族にとってどれだけショックでしょうか。こうして、仕事や職場だけでなく、自分の大切な家庭にまでもダメージが及んでしまうのです。
ところが、最近実施されている一般的なセクハラ防止研修では、被害者のダメージには触れていても、このような加害者のダメージについて充分に伝えていないように思います。実は、加害者にも大きなダメージがあり、そのような加害者を作らないためにも、企業はセクハラ防止活動を推進するという責任があります。無自覚なセクハラ加害者には、「もしかしたら自分も・・・?」と、ドキッとさせるようなケースを用いて、具体的な加害者のダメージを実感してもらいましょう。
(2011年)
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