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ハラスメント行為は、1回だけでもダメなのでしょうか?

Q世間でハラスメント問題に注目が集まる中、何でもかんでも「ハラスメントだ」と訴える部下が多くなってきた気がします。
部下とのコミュニケーションに気をつけていても無意識で言ってしまうかもしれないし、厳しく指導しないといけない時にどう伝えればいいか迷ったりします。
1度だけでもパワハラやセクハラになってしまうのでしょうか。
Aハラスメント行為は、1回だけでもダメなのでしょうか。誰でも間違いは起こすので、それを罰せられるとなると、部下とコミュニケーションができなくなってしまうのではないかと危惧しています。

ハラスメント行為は、残念ながら誰もが行為者になってしまう可能性があります。おっしゃる通り、人は誰もが過ちを犯しますし、うっかり感情的になって厳しい指導をしたり、よいコミュニケーションのつもりで性的な冗談を言ってしまったりすることもあるでしょう。その1回をもって「ハラスメントですね、処分します」ということになるのかどうか、誰もが気になるところです。

結論からいえば、厳しい指導と称して暴力行為をしていれば、一回でも懲戒処分の対象になり得るでしょう。パワハラ裁判でよく登場する「死ね」「殺すぞ」などの脅迫・侮辱行為も、被害者が重大な健康被害に陥る可能性が高く、およそ効果的な指導でないことが明白です。セクシュアルハラスメントも、相手の同意もなく体に触ったり、盗撮などの行為があれば刑法犯罪の可能性がありますから、1回だけなら許される、とは言い難いでしょう。もちろん、懲戒処分の規程は会社によって異なりますから、一概に一発アウトと断言はできませんが、多くの企業で犯罪行為は懲戒処分の対象としていると思われます。法的に責任を問われるような暴力や人権侵害、人格攻撃や侮辱にあたる言動は、誰に対しても許されません。

一方で、その言動の内容や頻度によって懲戒処分の段階も変わってきます。各社で懲戒処分の前例があり、それを大きく外れた判断は公平性に欠けるため、どの程度の内容で処分が下るかはまちまちです。ただ、そのギリギリのラインを知ることは、ハラスメント予防にほとんど効果はないでしょう。無視や嫌みなど他者から見て些細に思えるような言動であっても、それが継続的に行われていたり、被害者が職場で孤立するような事態になっていたりすれば、うつ病などの精神疾患を引き起こしかねません。このような職場環境の悪化を招く言動が放置されないよう、厳重注意や戒告などの処分が下ることもあり得ます。

ハラスメントと言われることを恐れて、部下とのコミュニケーションをとるのが怖い、避けたいという上司の気持ちは、確かに理解できます。だからこそ、ちょっとした行き違いや無意識の言動で、うっかり相手を傷つけてしまったのでは…と思ったら、その時点すぐに心から謝罪することで関係修復することが大切です。それを怠ったり、なかったことにして誤魔化したりすると関係がこじれていきます。誰もが過ちを犯すからこそ、その先にどのような対応をするかを問われているのではないでしょうか。

(2012年、2024年)

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