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ハラスメント相談の現場からVol.11 あなたの“口癖”からは何が見えますか?
Vol.11 あなたの“口癖”からは何が見えますか?
他意はなく、本人が意識せず繰り返し自然に口にしているのが“口癖”です。たとえ、周囲から指摘されても、当の本人は「そんなこと、言ってる?」と、にわかには信じられないほど自覚がありません。しかし、“口癖”は人生観や価値観に色濃く彩られた本音の表出でもあります。
先日、某金融会社地方支店に勤務する営業マンからこんな相談がありました。「今春、東京から赴任してきた支店長の“口癖”は、『こんな田舎…』とか『田舎だから…』なんです。本人にはそのつもりがないのかもしれないけれど、馬鹿にされている気がしてとても嫌です」というもの。よく聞いてみると、発言の背景にある、本社(東京)が上、地方支店は下という組織図上の関係を東京(都会)と地方都市(田舎)に当てはめ、明らかに前者を優位、後者を劣位ととらえる価値観が透けて見えてきます。この例に限らず、職業やジェンダーについてその人の物の見方や価値観が、知らず知らずのうちに言葉や態度に表れて、周囲に不快感を与えてしまうのは残念ながらよくあることです。視点を変えてみると、田舎に対して優越感をもっているらしい支店長自身、「中央から地方へ飛ばされた」という劣等感に苛まれ、その裏返しが「田舎は…」という“口癖”となって表出されているのかもしれません。すなわち、自分の絶対的優位を相手に見せつけるような言動の背景に、実は認めたくない認識・感情(たとえば「自分が地方に配属されたのは不当ではないか」など)があり、“口癖”はそれらの歪んだ表現形とも考えられるのではないでしょうか。
重要なミッションを遂行するための必須条件は、同じ土俵で気持ち良く協働できるよう、周囲と信頼関係を築くことです。一度、“口癖”をチェックしてみませんか?自分では気づかないのが癖の曲者たるゆえんです。身近な人に声をかけ、「お互いに気づいたら教え合う」口癖発見ゲームを楽しんでみてはいかがでしょう。
(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2016.01)
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