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ハラスメント相談の現場からVol.2 “井戸端会議”はお嫌?
Vol.2 “井戸端会議”はお嫌?
“井戸端会議”と言えば、噂話や世間話に興じる女性たちを揶揄して使われることが多いのですが、実は一見ムダに思えるたわいない話が、互いの感情の機微の理解につながることがあり、決して軽視できない好機になります。
こんなことが頭に浮かんだのも、最近、「部下との面談でいかに相手の情報を引き出すか?」というテーマで研修中、4、50代の男性管理職の人たちの“こちらの用件を一方的に伝達する無駄のないスタイル”に驚いたのがきっかけでした。話の切り出し方は単刀直入、相手への質問はイエスかノーかで応えられる誘導型(たとえば、「最近、どう?(間髪入れず)○○○が問題になったのは、×××だったからだろう?」など)。相手の表情、反応、姿勢に注意を向けることなく、自分のペースで自分が用意したシナリオ通りに面談を終えてヨシとしてしまいます。発言数は大体10対1くらい。もちろん、部下の10倍しゃべっています。研修実施の背景には、「部下から『気持ちをくみ取ってもらえない』との評価をもらった」事実がありました。…さもありなん、です。
「性役割」の不自由さを感じることがありませんか?「感情表出は抑制するべき」という伝統的、社会慣習的に期待されてきた「男らしさ」です。一方、「女らしさ」に象徴されるのは、人に頼り、援助を求めるような “弱さ”であり、「男らしさ」の対極にあると考えられます。これらの性役割からの逸脱は、一般に男性の方が問題視される傾向にあります。そのため、男性は対人関係で“素の自分”を抑え、合理的で無駄のないやりとりに終始し、その結果、親密な関係性への敷居が高くなるのでしょう。“素の自分”に向き合うことは、相手ともきちんと対峙すること。興味深いのは、“弱い”はずの女性が、“井戸端会議”に象徴されるように、実はしたたかで“強い”ことです。
一見、実りの乏しそうな“井戸端会議”的手法を男性もとり入れてみてはいかがでしょうか?
(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2015.04)
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