ハラスメント相談の現場からVol.8 “健全な職場環境づくり”に果たすべき企業の役割は?

Vol.8 “健全な職場環境づくり”に果たすべき企業の役割は?

厚生労働省が平成24年17,000社に調査を行なった結果、「過去3年間にパワハラ(パワーハラスメント)相談があった企業」では、「上司と部下のコミュニケーション不足(51.1%)」、「正社員や正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場(21.9%)」、「残業が多い/休みが取りにくい(19.9%)」、「失敗が許されない/失敗への許容度がない(19.8%)」といった共通点があったそうです。
“コミュニケーションが不足し、多様性が浸透しづらく、残業が多くて休みが取りにくく、ミスに不寛容な職場”に流れる空気とは、どのようなものでしょう?自分の中にある「~こうあるべき」という枠から抜け出せず、多様性を受け入れることへ強い抵抗を抱いて、自分の思い通りにならないとイライラのスイッチがオンになり容赦ない言動となって暴走する・・・。パワハラの源泉はこんなところにあるのかもしれません。逆に、怒りを無理やり押し殺したり、見て見ぬふりをしたり、自らの感情の取り扱い方法を誤ると、強い不安などメンタルヘルス不調を招いてしまうこともあります。
労働安全衛生法の改正により12月からストレスチェック制度が施行されます。これにより、従業員50人以上の事業所に対し『ストレスチェック』と面接指導等が義務付けられます。このストレスチェック制度は、「定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、ストレスの要因そのものも低減させるもの」(厚生労働省・ストレスチェック制度の概要より抜粋)です。
ハラスメント対策へより一層の企業努力が求められるとともに、メンタルヘルスはラインケアを超え、システムケアの時代がやってきます。

(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2015.10)

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